胃袋を因島市と瀬戸田町に移し、グルメ紀行第2回の始まり。真夏の太陽が照りつける島にて、美食にふけらんとさまよう旅人あり・・・。
因島 料理 磯の香がひろがる因島三味 懐かしさがなぜか新鮮
因島の名物料理に「水軍鍋」というのがある。村上水軍が出陣前夜に海辺で囲んだ鍋を、古い文献に基づき再現したというもの。この鍋を女1人で食べるのはちょっと勇ましすぎる気もするので、今回は開通イベントのひとつである一島三味まつりで因島の三味に選ばれている「水軍しょうゆめし、ねぶと南蛮、碁目イギス」をごちそうになることに。「ホテルみやじま」さんほか、島内の9カ所でこの料理を味わうことができる。中でも私のお気に入りは「ねぶと南蛮」である。瀬戸内の小魚料理は有名だが、このねぶと(別名いしかべり)、なるほど小さい魚で、頭を取った身は5センチもあるだろうか。油で揚げて酢に漬けられたねぶとは骨もやわらかくなって、丸ごとを一口である。う~ん、冷えたビールによく合いそう!
因島 お土産 八朔と杜仲茶を生かして 元気になりそうな特産品いろいろ
因島といえば思い浮かぶもの・・・造船、囲碁ファンなら本因坊秀策、最近では東ちづるの故郷といったところだろうか?だが「八朔(はっさく)の発祥の地」というのは、あまり知られていないのでは。かんきつ栽培のさかんな瀬戸内の島々のなかでも、「因島の八朔」といえばワンランク上のブランド品。その因島産八朔から作られた「はっさくワイン」は、ちょっぴり甘めの味に、ほろ苦さがアクセントになっている。
新しいところでは、数年前に大ブームを起こした杜仲(とちゅう)茶も特産になっている。島の重要な産業である造船の会社が、バイオ事業部を立ち上げ開発したもの。血圧降下や物忘れの予防などに効果があるとか。島内ではウーロン茶や麦茶よりもポピュラーな飲物として愛飲されている。杜仲茶を使った麺やお菓子なども開発されているので、ちょっと変わったお土産としても喜ばれそうだ。
瀬戸田 料理 再認識!あなごは高級魚だっ!!
瀬戸田といえば「たこ」。耕三寺参道を歩くと土産物の店先などにたこの一夜干しが暖簾のようにぶら下がっている。島内にはたこ料理専門店もいくつかあり、観光客の舌を楽しませてくれる。しまなみの他の島同様、海の幸に恵まれた瀬戸田だが、たこと並ぶもう一つの代表的味覚はあなご。今回おじゃました「わか葉」さんでは珍しいあなごの刺身が食べられる。クリクリとした独特の歯ざわりとクセのない味は、ちょっとあなごのイメージを変える。身が固くなりすぎないのは寿司屋で修業したというおかみさんの弟さんの技術によるものらしい。あなごの箱寿司もオリジナルのメニュー。寿司飯の中にも刻んだあなごが混ぜ込んである。手が込んでいるのだ。ほどよく効いたわさびが食欲をそそる。昭和32年から40年以上続く店を切り盛りするのは、2代目おかみの山口さん。橋ができてお客さんが増えたことで、「本当に食べてもらいたい料理だけ出す店ができるようになったことが嬉しい」と話す。専門店としての自信と誇りが感じられた。今も半分は地元客という。おいしい魚を食べ慣れた島の人達にも愛されているお店ようだ。
瀬戸田 デザート さっぱり味のジェラートでリフレッシュ
因島が八朔の島なら、瀬戸田はレモンの島。レモンを使った土産物が充実している。レモンプリン、レモンせんべいなどのお菓子から、レモンのり(佃煮)などという、意表をつかれるようなものまである。
耕三寺の前にはこじゃれたイタリアンジェラートのスタンドができていた。ゆうステーションせとだの中にも入っているドルチェという、このジェラート屋さんには、レモンはもとより八朔、デコポンなど、いろいろな柑橘類のジェラートがある。広い耕三寺を歩いた後には、このさっぱりした甘みで一息いれるのもいいのでは。
(上甲 いづみ)