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くろーずあっぷしまなみ

愛媛県伯方町 ふれあいの中から新しい発見を -しまなみ海道 ’99 新交流時代を迎える伯方町-(99年3月) 

1999.03.01 くろーずあっぷしまなみ

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「マリンオアシスはかた」がお出迎え

 いよいよ、5月1日の開通まで、2カ月。「完成記念イベント」の各会場には幟がはためき、にぎやかさを増してきた。
 今治側から行くと2番目の大きな島であり、造船・海運、製塩業などで知られている伯方町を紹介しよう。
 しまなみ海道は伯方島の西南部、叶浦地区を通る。このため、町ではこの地区を伯方島の玄関口として、受け入れ施設を整備してきた。
 町民会館と体育館、テニスコート等からなるスポーツ・カルチャーパーク(SCパーク)があったが、これに加え、開通を前に隣接地に「マリンオアシスはかた」を、その横の枝越海岸に人工海浜を整備している。
 マリンオアシスはかたには、レストラン、特産物販売所、加工所等が設けられている。タイの骨蒸、サザエの壷焼き、干しタコといった味覚と産物から新しい交流拠点・伯方をアピールする場となっている。

 

開山の大花見

 伯方町の北西部の開山(ひらきやま)には、地区の人たちが、桜の樹を植えており、その数1,000本。頂上は公園となっており、桜の名所として、春の行楽シーズンには、大勢の人でにぎわう。
 開山からは、しまなみ海道の3つの橋を望むことができる。多々羅大橋、大三島橋、伯方島大橋である。それぞれ、斜張橋、アーチ橋、吊橋・桁橋と全て、異なる姿を見せる。橋のデパートとも称される、瀬戸内しまなみ海道の面目躍如たる光景である。
 この開山で、4月4日(日)に、「しまなみ海道大花見」が開催される。開通前なのが残念だが、春休みの一日、しまなみ海道の橋と桜めぐりとしゃれてみるのもよい。

 

「ふるさと歴史公園」

 叶浦から車で海岸に沿って走る。
 途中、船折瀬戸という、その名がズバリ表している名所で一休み。潮の流れが川の如く見える。その昔、この海を村上水軍は舟を操り縦横に駆け巡った。
 さらに車を走らせて、伯方町の中心部、木浦港のすぐ背後の岩ケ峰山頂に「ふるさと歴史公園」があり、シンボルとして鎌倉時代の山城、木浦城が復元されている。あたりを見回すと、芸予諸島の島々が手に取るように見え、遠くに、中国山地、四国山脈を一望することができる。眼下には造船所のクレーンが林立し、港に時折出入りする船もこの島ならではの風景である。展示館には、古墳時代の遺物、民俗資料、地場産業の歩みが展示され、島の歴史と産業を知ることができる。

 

「虹と落日」公演

 町内在住の作家、原田八束(はらだ・やつか)氏原作の、村上水軍を描いた海洋歴史小説「虹と落日」の演劇公演が、7月31日(土)、8月1日(日)に町民会館で行われる。
 中世の芸予諸島を舞台にした壮大な歴史物語で、村上武吉の血を引く「六郎太」(フィクション)が主人公。信長が石山本願寺と鋭く対立し、木船から、大砲を備えた鉄板装甲船へと海戦の主役が移り変わっていった時代が舞台だ。信長方の熊野水軍を六郎太の知謀で打ち破り、その名を轟かせた。しかし、両軍が再び相まみえた「木津川の合戦」を境として村上水軍は衰亡していく。この姿を落日にたとえている。海に生きる男の生きざま、指導者のあり方等を壮大なタッチで描いたもの。今回は神戸の夏目俊二氏が演出。
 原作は神戸新聞にかつて連載されたものだが、町教育委員会から単行本として出版されている。
 かつて村上水軍が活躍した芸予諸島を、車や自転車・徒歩で行き来することができるという歴史的な時期に、公演が実現することは意義深いものがある。

▲開山公園

▲開山公園

 

ふれあいの中から新しい発見を

 伯方島はどちらかというと、造船、海運、製塩業、くるまえび養殖、縫製など、地場産業のしっかりした島であった。町づくりも、観光・交流を意識した他の島々とは若干方向を異にしてきた。
 しかしながら、しまなみ海道の開通によって、必然的に訪れる人は増えてくる。全通記念イベントの一環として、島々を巡るウォークやマラソン等も開催される。ユニークな自主企画イベントも多数持ち込まれている。
 これを機会に、訪れる人たちが、島の自然や歴史、文化、人々のあたたかさにふれ、少しでもいい印象を持ってもらいたい。また、訪問者とのふれあいの中から、島の人たちが気付かなかったことを発見させてくれるのが楽しみである。

(福嶋 康博)

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