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くろーずあっぷ中予

重信町 駅伝が広げる地域の和(97年2月)

1997.02.01 くろーずあっぷ中予

9702_a 重信町は県都・松山市の東の玄関にあたり、国道11号線、伊予鉄道横河原線などにより同一の生活圏を形成している。昨年10月に町制施行40周年を迎えた。99年の完成を目指して、総合公園の建設も進められている。発展著しい重信町のイベント、「町民体力づくり400歳駅伝大会(以下400歳駅伝大会)」を紹介しよう。

特定の層に偏らない参加者

 マラソンや駅伝は冬のスポーツの代名詞。特に駅伝は、チーム対抗のリレー競争という日本独特の競技である。交通事情の悪化などにより最盛期からみれば少なくなったが、仲間意識を大切にする日本人の伝統的な感性に支えられ、根強い人気がある。
 愛媛県下でも、地域住民へのスポーツの普及、健康や体力づくりへの関心の高揚などを目的として、多くの市町村が駅伝・マラソン大会を開催している。
 その中でも重信町の400歳駅伝は、参加チームの構成を男子6名・女子4名合計10名とし、基準日(97年4月1日)の年齢が400歳以上になることを条件としているのが特色である。男女の混成チームなので、女性には年齢計算上のハンディキャップが加算されるなど、きめ細かな基準が設けられている。マラソンや駅伝に限らず、スポーツイベントは、若者が主役になりがちである。特に中高年の女性にとっては、あまりなじみがない。400歳駅伝は、参加基準を工夫することで、様々な年齢・性別の参加者を集う大会になっている。走行距離も男性1,897m、女性746mと無理のないコース設定であり、気軽に参加できる設定である。
今年で22回目を数え、「第19回重信町健康マラソン大会」とともに重信中学校運動場をメイン会場として2月2日に開催される。

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分館単位のチーム編成で交流機会を拡大

 チームは公民館の分館単位で編成され、メンバーは各地区の体育部長が中心になって選抜する。重信町内には22の分館があり、昨年はそのうち15分館から20チーム、200人が出場した。マラソン大会の出場者約500人とあわせ、約700人が参加する町民大運動会に次ぐ規模の体育行事である。
 重信町では宅地開発が盛んであり、90~95年の人口増加率は4.5%と、愛媛県下市町村で3番目に高い。元々の住民と新しく引っ越してきた住民との交流を深め、融和を推進するのにスポーツイベントは絶好の機会になる。人口約22,500人の比較的大きな町だが、駅伝に限らず、ソフトボール、バレーボール、登山など、全町が参加するスポーツイベントが盛んに行われている。分館毎のチーム編成は、地元意識を強め、地区内外の交流を深めるのにも役立っている。

 

ベースとなるネットワークづくり

 経費が必要なのは、参加者への弁当や入賞者・参加者への賞品・記念品などで、駅伝・マラソン両方を合わせても大きな金額にはならない。10人ほどの交通指導員は、地元の有志が手弁当で買って出る。
 地域づくりには様々な交流が不可欠である。外向けのイベントが、地域の新たな発展に向けた挑戦とすれば、多くのスポーツイベントは、そのベースである住民生活の充実が目的である。一部の例外を除いて、地域内の参加者を対象に開催されることが多い。外部に宣伝されることもなく、やや地味なためについ見過ごしてしまいがちである。しかし、他からの集客などによって商業的な成功を収めることと同じくらいに、フェイスツーフェイスのコミュニケーションを円滑にし、地域のまとまりを強めることも重要であろう。
 ジェネレーションギャップや都市化に伴う地域共同体の崩壊が、社会問題となって久しい。世代間、住民間の新たなコミュニケーションを醸成する場をどのようにつくってゆくかは、各市町村にとって重要なテーマである。400歳駅伝は、平凡なスポーツイベントでありながら、単に健康づくりや個人生活の充実を目的とするだけでなく、性別や世代を超えて地域ぐるみで交流を図ろうとする意図が、明確に感じられるところに面白味がある。

kabo重信町イメージキャラクター
「かぼちゃん」
緑は重信に息づく豊かな自然を、黄色のラインは重信に降り注ぐ太陽を、赤のエス(S)のマークは情熱的に発展していく重信町をイメージしているそうです。

(鈴木 俊夫)

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