平成23年2月16日
No.11-026
株式会社 いよぎん地域経済研究センター
愛媛のクロマグロ養殖の現状と課題
~魚類養殖のノウハウを活かし、愛媛でも規模拡大の動き~
株式会社いよぎん地域経済研究センター(略称IRC、社長 原 正恒)では、このたび下記のとおり、愛媛のクロマグロ養殖の現状と課題について取りまと めましたので、お知らせいたします。なお、詳細については、2011年3月1日発行の「調査月報IRC・2011年3月号」に掲載いたします。
記
調査概要
世界的に需要が増加しているマグロは、資源保護の観点から、漁獲規制が強化されている。こうした中、マグロ養殖への期待が急速に高まっており、推計によ ると、愛媛の養殖クロマグロ生産量は2010年に250トン、生産額は6億3,000万円とみられる。今後、順調に生産量が増えるとすれば、2012年に は生産量1,100トン、生産額27億5,000万円になると見込まれる。
調査結果要旨
- わが国へのマグロ類供給量(漁獲量と輸入量の合計)は、2009年に32万9,000トンで、ピーク時の1993年より約4割減少している。日本は、国際ルールに基づいた輸入量の削減を行っており、今後も輸入量の減少が予想される。
- 国内養殖クロマグロ生産量は、2010年に約9,000トンと推計される。2011年には、1万トンの大台を超える見通しである。
- 愛媛のクロマグロ養殖は、2010年に経営体数が10先、従事者数が100名程度いるとみられる。また、推計による2010年の生産量は250ト ン、生産額6億3,000万円とみられ、前年比2倍以上となった。今後、順調に生産量が増えるとすれば、2012年には生産量1,100トン、生産額27 億5,000万円になると見込まれる。
- 特徴としては、マダイやハマチなどの養殖業者や産地流通業者、試験研究機関の集積と、長年培われたノウハウを活かせる強みがあげられる。産地流通業者の持つ流通ネットワークや設備を活用できることなども強みである。
- 課題としては、資金確保や大企業との連携、漁場や稚魚の確保などがあげられる。
- 愛媛におけるクロマグロ養殖は、底堅い需要と漁獲規制の強化を背景に、拡大・発展が見込まれ、魚類養殖業界の活性化につながることが期待される。