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くろーずあっぷ中予

川内町 「かわしょう新聞」登場温泉郡川内町の消費者情報誌(97年6月)

1997.06.01 くろーずあっぷ中予

kawasyou

大型店にできないことを

 町村部の商店・商店街は、大型店の出店、地域人口の伸び悩み、都市部への購買力の流出などに悩んでいる。
 中小店は大型店と同じことをやっていたのでは勝ち目はない。規模・資本力・知名度・品揃え力に勝る大型店に押しつぶされないようにするには、正面からぶつかることは避け、大型店にできないことに活路を見出したい。
 そのポイントは、地域の消費者との絆を強固なものとし、単なるモノやサービスを売るだけでない関係を構築することである。
 こうした対応策は、本来、個々の店舗で行うべき事柄であるが、商業者集団としても単にモノやサービスを売るだけでなく、地域の消費者との絆を保ち、太くしていく努力が欠かせない。

 

チラシからの脱皮

 川内町商工会商業部会では「かわしょう新聞」を発行して、消費者の目と足と心を再び地元商店に引き付けようとしている。
 以前から、共同のチラシはあった。約50店が負担金を出し合い、新聞折り込みにより、毎月下旬に町内各家庭に配布してきた。
 しかしながら、タイトル字の他は各商店のマス目が並び、それも単に屋号と電話番号のみで、あえて表現するならば「電話帳」の域を出ないものであった。工夫が加えられる事も少なく、同じ内容に終始していた。このため、マンネリに陥り、本来期待されている効果を発揮できないのではないかと反省が芽生えていった。
 各店からの分担金は低額にとどめ、業者に委託しているため発行の負担はあまりない。しかし、逆に訴えかけるものの乏しさは否めないところであり、見直しが必要とされてきた。
 このため、1996年度初めより商工会で大幅に見直しを行うこととし、検討を加え、講習会などを重ねた結果、生まれたのが「かわしょう新聞」である。
 「かわしょう新聞」は情報発信紙的な内容に一新、3ヶ月に1回の発行とした。
 読んでいただけるよう内容も特集主体とし、初回、平成8年秋号には「秋祭り」(地方祭)についての特集記事を組んだ。秋祭りやこれに付き物の「獅子舞」の由来等を簡単にだが紹介したところ、好評であった。
 歳末には、「’96 歳末大感謝祭開催!」とし、12月20日から31日まで実施した福引き付きの大売出しを特集した。春号は「ご卒業・ご入学・お花見感謝セール」特集である。秋号よりも一段とパワーアップしている。

 

消費者側からの声

 昨年秋、商工会では消費者との懇談会を行った。ちょうど、「かわしょう新聞」の1号が出たばかりであったため、懇談会では話題となった。消費者からは、①商店の一言PRを乗せたらどうか、②(折り込み広告の山に埋もれるのを防ぐため)発行の曜日は、金曜日等を避けるなど、注目度を上げ、「見てもらう」工夫も必要でないか、③印刷のカラーは商店街そのもののイメージに直結するので、工夫の余地があるのではないか(96年秋号はやや薄目のオレンジの単色刷りで地味な感じを受ける)、など具体的提案を含む意見が寄せられた。
 一方、商業者側からは内容についての改善意見は取りいれたいが、費用のかさむことは難しいという意見であった。

 

効果は

 ようやく軌道に乗りかかってきたばかりであり、効果等は即断できない。販売促進のチラシ広告と違って、即効性はないかも知れない。かわしょう新聞のみ単体で機能するのではなく、イベント等と連動することによって、地域の消費者との接点も広がる。各店の独自の取り組みもこれから期待したい。
 ともあれ、消費者と商店とのつながりが一つ増えた。「がんばっているんですよ」という商業者からのメッセージでもある。
 川内町は、住宅購入等に伴って転入は多いものの、地元の商店についての情報を得ていないため、転入者はともすれば知名度のある大型店に目を向けがちである。消費者の目が改めて地元商店に向くよう、「かわしょう新聞」を活用していくことが望まれる。

 

商業者とスタッフの二人三脚

 マンネリに陥っていたチラシを「かわしょう新聞」としてリニューアルできた要因の一つとして、商業者とスタッフの二人三脚が挙げられる。商業者に、チラシの改革に真剣に取り組んでみようという意識が芽生え、スタッフがこれに実現の道筋をつけ、結果を生んだものとみられる。
 川内町夏祭りについても、名物の花火大会が高速道路に近すぎるなどの理由で行えなくなったため、祭りそのものが中止の憂き目に遭った(95年)。しかし、町民の楽しみが失われてはならないと、商工会を中心とした町内の各団体が実行委員会を組織、プランを練り、翌年にはレーザーライトショーなど新たな趣向でよみがえった。
 このように、地域の支援組織に手となり足となるスタッフを抱えていることがこれからの地域づくりに欠かせない。

(福嶋 康博)

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