中島町は県都松山市の北西15km、広島県、山口県に接し瀬戸内海西部に位置する人口7千5百人の町。6つの有人島と22の無人島で構成され、白浜の海浜や多島性景観、温暖な瀬戸内海気候など自然環境には恵まれており、1956年には瀬戸内海国立公園に指定された。日本一のミカンの産地として有名であるが、近年はトライアスロンの町としてイメージが定着している。今年で13回目を迎える当町のトライアスロン大会についてレポートする。
四国初の大会
県内の他の多くの市町村と同様に、中島町においても人口の減少や若者の流出等による高齢化が進行している。このような状況の中、町をアピールでき、かつ地域の活性化となる施策が求められていた。様々な活性化策が議論される中で候補として挙がったのが「トライアスロン競技」。その後開催の可能性について検討を重ねた結果、海に囲まれた立地が十分に生かせることや、交通量が少なく交通規制が行い易いこと等から、競技会場としては絶好の場所であると判断された。当時、トライアスロン大会を開催している地域は全国でも少なく、運営に関する参考事例等も無かったが、商工会の青年部を中心に「とりあえずやってみよう」という熱意で準備が進められた。そして、86年に四国で初めてのトライアスロン大会が開催されるに至った。
【トライアスロン競技とは】
別名「鉄人レース」とも呼ばれる。1日で遠泳とサイクリングとマラソンの3種目を続けて行い、所要時間を争う。中島大会は、遠泳1.5km、サイクリング40km、マラソン10kmの距離である。制限時間は5時間であるが、ほとんどの参加者が完走する。
試行錯誤の第1回大会
ところが、実際に大会を遂行してみると、予想外の問題が続出した。中でも、各種準備物の手配やレースのチェック体制、さらに道路許可等においては、なかなか計画通りに進まなかった。しかし、行政のバックアップや青年部を中心とした地元若者の積極的な参加、多くの人のボランティア活動等により、無事第1回大会を成功させることができた。
その後は回数を重ねる中で、大会運営のノウハウが蓄積され、現在では100ページ近くになる「大会運営マニュアル」が作成されており、スムーズな大会運営がなされている。
多様な顔ぶれの参加者
大会参加者は年々増加し、昨年の第12回大会には約350人が参加した。参加者の年齢も10代から70代と非常に幅広い。参加者の出身地は、県内、四国・中国地方が中心ではあるが、関東以西からも広く参加している。姉妹町である石川県中島町からは毎年2人が招待選手として参加している。
また、4年前からは、中島町内の小学生(4~6年生)を対象にした、ジュニア大会が開始されており、将来の“鉄人”を目指したチビッコ達が多く参加している。
大会前日には、海辺で競技参加者や家族が参加して前夜祭が開催され、みかんやヒラメなど、町の特産物をアピールする機会にもなっている。昨年は約650人が参加して盛大に行われた。
大会を支えるボランティア
大会は地元住民を中心にした多くのボランティアによって支えられている。昨年の大会では、参加者(約350人)を上回る700人近くが参加した。前夜祭の準備や大会の進行、参加者に対するホームステイ等、地元ぐるみの支援体制がとられている。
ただ近年、ボランティア参加者の減少や高齢化といった問題が発生している。大会運営はボランティア活動に負うところが大きいため、今後はボランティア参加者をいかに確保していくかが課題となっている。
競技を通じた心のふれあい
当大会は競技志向でなく、参加者に楽しんでもらい、スポーツを通じて参加者と地元の人が交流することを目的としている。そのため、初心者も気軽に参加することができる。トライアスロン競技の面白さだけでなく、中島町民との心の触れ合いも経験できる“鉄人レース”を読者の皆様も一度経験してみてはどうだろうか。
■第13回中島大会概要
日時 | 平成10年8月23日(日) |
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場所 | 愛媛県温泉郡中島町 (メイン会場:長師町民グラウンド) |
参加資格 | 18歳以上の健康な方 |
定員 | 350名 |
参加費 | 18,000円 |
事務局 | 中島町役場 町づくり対策課 トライアスロン事務局 TEL 089-997-1111 |
※今年の大会参加受付は5月25日で締め切りました。
(上野 敬治)