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しまなみグルメ紀行

尾道市・向島町 旅の醍醐味は食と交流にあり  尾道・向島の旨いものめぐり(99年8月)

1999.08.01 しまなみグルメ紀行

mukaimap 「瀬戸内しまなみ海道」と一口にいっても、地域の味はバラエティに富んでいる。今月から、沿線各地のおすすめの料理やお土産を紹介したい。ただし、登場するところは、担当者の目と耳と舌と胃袋で(?)勝手に選ばせてもらった。

尾道 ごちそう “尾道風”海の幸満載のお好み焼

 尾道っ子おすすめの店、「萩乃家(はぎのや)」のお好み焼は、広島風ではなく“尾道風”。職人肌の料理人、萩原隆(ゆたか)さんが“尾道風”にこだわるわけは二つある。一つは、尾道近郊で獲れるシャコやカキなど、瀬戸内の海の幸をたっぷりと使っていること。もう一つは、油を一切ひかず、麺も炒めないこと。中に入れる揚げイカと天かすの油だけで焼くので、ヘルシーだ。たくさんのキャベツやとろろ昆布、生シャコ、麺、生イカ、タコなどいろいろ載せて山盛りになった素材をギュッと圧縮、ひっくり返して特製ソースを塗る。出来上がりの味には、うなるしかない。
 萩原さんのこだわりとは、つまるところ来てくれたお客さんに最高のものを味わってもらいたい、というもてなしの心だと思う。その真剣さが客の胸を打つ。アツアツのお好み焼をはさんで、萩原さんとざっくばらんな会話を楽しんでいるうち、お腹だけでなく心もいっぱいになった。旨い料理と、その土地に住む人の心にふれる喜び。旅の醍醐味は、これに尽きるのではないか。

▲こだわりの料理人 萩原隆さん

▲こだわりの料理人 萩原隆さん

▲具が山もりの尾道風お好み焼

▲具が山もりの尾道風お好み焼

 

尾道 デザート パリッとした食感のアイスモナカ

 暑い夏の盛り、ひと休みに、冷たいアイスモナカはいかが?海沿いにある「手づくりアイスクリーム・喫茶からさわ」は、創業1939(昭和14年)の老舗。地元広島県産の甲山町(こうざんちょう)の卵や七塚原(ななつかはら)の牛乳を使い、創業当時とほぼ同じ材料、製法を守っている。どこか懐かしい、コクのある味わいだ。お客の目の前で、最中の皮にアイスをサンドしてくれるので、サクッとした食感がうれしい。

▲アイスモナカ(右)。クリームぜんざい(左)もおすすめ

▲アイスモナカ(右)。クリームぜんざい(左)もおすすめ

 

尾道 お土産 女性に好運!!「招き猫のお酒」

 若い女性観光客に人気の純米酒「招き猫のお酒」。中身は彼氏に飲ませて、ビンだけもらうらしい。尾道在住の画家園山春二氏が描いた招き猫ラベルがかわいい。JAが作る「いちじくワイン」は、尾道産の完熟いちじくを使っている。「おのみち麦酒」は、女性にも飲みやすい、やわらかい口当たりの地ビールだ。

▲向酒店の招き猫の看板

▲向酒店の招き猫の看板

▲いちじくワイン(左)、招き猫のお酒(中央)、おのみち麦酒(右)

▲いちじくワイン(左)、招き猫のお酒(中央)、おのみち麦酒(右)

 

向島 料理・土産 長寿料理であなたも長生き

 洋らんの里、向島(むかいしま)。南部の立花地区は、長寿の村として知られている。長生きの秘けつは、野菜や小魚、海藻類を豊富に食べる食習慣にあるという。
 向島を訪れると、暖かい潮の薫りのする風の中に瀬戸内の美しい海が眺められ、人々は皆おっとりして優しかった。こうした生活スタイルも、深く長寿につながっているように思える。
 町と花組合で経営する「フラワーパーク立花自然活用村」では、長寿料理を味わえる(要予約)。作ってくれるのは気さくな人柄の木曽キクエさん。おすすめはいぎす豆腐で、地元の漁師が採ってきた天然のいぎす(海藻)で手作りしている。特産のワケギのぬたや魚の煮付け、しそわかめごはんなど、どれもあっさりして素朴な味わいだ。田舎に帰ったときにいただくお母さんのごはん、とでもいうような懐かしい味がした。

▲長寿料理 懐かしい家庭の味

▲長寿料理 懐かしい家庭の味

 西に位置する岩子島(いわしじま)地区では、ワケギとトマトの栽培が盛んだ。オレンジ自由化を機に生産を始めたワケギは、今や日本(世界)一の生産量を誇る。向島のお土産に、新鮮な野菜を買って帰るのもいい。地元産のトマトで作ったジャムは、イベントや朝市などの限定品だ。

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(石井 英子)

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