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西日本レポート

【高知県高知市】「ソウルナビ」から「高知ナビ」へ - 高知に誕生!学生ベンチャー企業 -

2001.08.01 西日本レポート
「高知ナビ」ホームページ ※この画面は掲載当時のものです。

「高知ナビ」ホームページ
※この画面は掲載当時のものです。

「高知ナビ」の誕生

あなたは、日本人向けの韓国・ソウルの観光タウン情報サイト「ソウルナビ」のホームペー ジをクリックしたことがあるだろうか。「ソウルナビ」は昨年6月に開設されて以来、韓国ソウルを観光に訪れる人々、特に20代の女性必見の人気サイト。1 日約21万ページビューのアクセスを誇り、来年のサッカーW杯を控え一層のアクセス増加が見込まれている。この「ソウルナビ」の生みの親は高知工科大学の 畠中兼司教授。同教授が韓国でIT関連の仕事に従事していた時に手がけたものである。昨年、高知工科大学の招きに応じ帰国した同教授が学生を指導する中で 「ソウルナビ」を手本に高知版の観光サイト開設を提案、「高知ナビ」が誕生した。この「高知ナビ」の運営会社として今年4月に設立されたのが学生ベン チャー企業、(株)高知ナビである。「高知ナビ」をつくったねらいは観光客増加を図り地域を活性化させることであり、今年の6月からサービスを開始してい る。今回はこの学生ベンチャー企業(株)高知ナビの取り組みを紹介したい。

畠中兼司教授の略歴

和歌山県出身。ソニー、三星電子技術顧問等を経て、昨年4月から高知工科大学・工学部電子・光システム工学科教授に就任。日本のコンピューターグラフィックスの先駆者的存在。オンライン対戦型サッカーゲームを開発するなど幅広い活動を繰り広げている。

ベンチャーを輩出する高知工科大学

世界が求める技術者の養成機関として高知工科大学が開設され4年が経過し、今年の3月に は第一期生が卒業を迎えた。開校以来、「官設民営」という柔軟性のある運営形態を生かして企業との共同研究や交流促進に積極的に取り組んでいる。これから の高知県の産業発展と活性化にはなくてはならない存在になりつつある。特に、高知県のベンチャー起業に関する同大学の貢献度は高く、技術支援だけにとどま らず「起業家コース」の講座を開設するなど人材育成にも力を入れている。すでに同大学からは7社のベンチャー企業が生まれており、そのうち産学連携の共同 研究の成果によるものが5社、学生が中心となって事業経営を行う学生ベンチャーが2社。この中でも、現役工科大学生が全国で初めてネットビジネスに取り組 む事例として熱い注目を集めているのが(株)高知ナビなのである。

高知工科大学キャンパス

高知工科大学キャンパス

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鮮度が自慢の「高知ナビ」

「高知ナビ」は高知を訪れる20歳から40歳代の女性観光客をターゲットとしており、高 知の観光地の紹介のほかに「食・遊・買・泊」に関する「鮮度の高い情報」を満載している。それらの観光タウン情報は、学生社員が観光客の目線でこつこつと 取材をして集めたホットな情報であり、6月のスタート時のページ数は560ページにものぼった。今後も、「坂本龍馬」、「四万十川」、「くじらウォッチン グ」などの高知ならではの情報はもちろんのこと、高知の「穴場」を発掘しサイトの充実を図る予定である。
なお、サイトの閲覧は無料である。ま た、他の観光情報サイトと異なり掲載される飲食店やホテルなどから料金は一切徴求していない。掲載情報の選定における公平性や客観性を保つためである。 ホームページでは県内観光に関する質問を受け付けており、学生社員が24時間以内にメールで回答するというきめ細かいサービスを実施中。サイト開設以来、 兄貴分「ソウルナビ」のスタート時をはるかに超えるメールが寄せられており順調な滑り出しといえよう。

主役は学生

(株)高知ナビの社長を含む26名の役職員は全員高知工大の現役学生で構成されている。 畠中教授が要所要所でアドバイスはしているが、コンテンツ(情報の内容)の作成と運用のほか一切の会社運営は学生たちが担っている。同教授は「学生たちは 何かをやりたがっている。きっかけさえあれば起業は可能である。」と語る。学生たちは大学の講義やアルバイトなどを一般の学生と同じようにこなしつつ、 「高知ナビ」成功のため寝る間も惜しんで(食べる時間は惜しんでいない?)取材活動やコンテンツ作りなどに精を出している。来春卒業予定の学生の内3名は (株)高知ナビにあらためて就職する予定である。彼らの生き生きとした表情をみると、「高知の観光振興に役に立ちたい」との純粋な使命感を強く感じると同時に、社会人になって久しい我々の多くが忘れかけている「がむしゃらさ」を思い出させてくれる。

畠中教授と学生社員

畠中教授と学生社員

高知の魅力を全国、世界へ発信

当社は設立して間もない ため今のところ収入はないが、近々「高知ナビ」サイト上に広告を掲載して収入を確保していく予定である。将来的には高知の特産品の通販、ホテル・レンタ カーなどの予約代行やツアー企画などの旅行業務への進出などの事業展開を検討している。また、現在の資本金については「四万十川財団」やエンジェル投資 家、学生自らの出資であるが、今後地元企業や県民から幅広く出資を受け入れる計画がある。いずれにしても、高知の観光情報を全国、世界に向けて発信し、観 光客誘致を図り地域の活性化に貢献する方針である。

愛媛にも学生ベンチャーの誕生を!

今回の学生ベンチャー (株)高知ナビ設立は、学生に起業意識を芽生えさせただけでなく、地元産業界に大きな反響を呼んでいる。「新たな産業創出のためには、若い力の育成・支援 を行い、そのバイタリティーを地域の活性化につなげる取り組みが必要である。」と畠中教授は語る。(株)高知ナビが高知の学生ベンチャーのリード役を果た しながら大きな飛躍を遂げることを期待するとともに、愛媛でも若さに満ち溢れた学生ベンチャー企業がより多く誕生することを期待したい。

(二宮 秀介)

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