業界調査報告書「愛媛のソフトウェア産業」の発行について
~ますますの発展が期待される成長産業~
株式会社いよぎん地域経済研究センター(略称IRC、社長 吉川博理)では、このたび、業界調査報告書「愛媛のソフトウェア産業 ~その現状と今後の展望~」を取りまとめましたのでお知らせします。
記
1.調査の目的
愛媛のソフトウェア産業が、これまでどういう歴史をたどり、現在どうなっているのか、また今後どうなっていくのかなどを明らかにすること。
2.報告書の概要
本報告書は、A4判95ページで、県内業界調査シリーズとしては、「どうなる愛媛のものづくり?(2002年10月発行)」に続く第8弾です。構成は、第1部 ソフトウェア業界の現状、第2部 今後の展望、となっています。
3.報告書の要旨
- 愛媛においてソフトウェア開発業者が登場したのは1970年代半ばである。1980年代半ばにはパッケージソフトの開発を主力とするソフトウェア業者が現れるとともに、大手コンピューターメーカー系列のソフトウェア企業が県内に進出するなど、当業界の裾野は大きく広がり、コンピューターの急速な普及も相まって大きな成長を遂げた。1990年代初頭には、バブル経済の崩壊により大きな痛手を被ったが、比較的短期間で立ち直った。ここ数年は伸び率こそ全国に比べ低いものの、プラス成長を続けている。直近の愛媛のソフトウェア業の事業者数は181先、従業者数は約3,000人、売上高は約330億円である。
- 県内のソフトウェア業者をみると、地域別には松山と新居浜にほぼ集中している。資本系列別では「独立系」が最も多く、規模別では、従業者数10名以下の小規模零細業者が多くを占めている。創業形態別では「スピンアウト型」が最も多い。
- ソフトウェア業者は、受託開発ソフトウェア業者とパッケージソフトウェア業者とに分かれるが、愛媛の場合、受託開発ソフトウェア業者が全体の約8割と圧倒的に多い。ただし最近では、パッケージソフトウェアの開発に注力する業者が増加している。ソフトウェア業者の約4割が既にパッケージソフトを保有しており、その中にはユーザーや用途限定のニッチ戦略で、全国トップクラスの地位を築いている業者もある。一方、受託開発ソフトウェア業者においても、得意分野における技術力の向上や新規受託先の開拓などにより、業容を拡大させている業者は多い。
- 今後の見通しについては、(1)今後の景気見通しとIT投資の動向、(2)ユーザーのパッケージ志向、(3)中国へのシフト、(4)市町村合併による特需、などの要因を勘案したIRCのシミュレーションによると、2007年度までの今後5年間の年平均伸び率は、景気回復が本格化した場合の「楽観シナリオ」では7.4%、景気低迷が長期化した場合の「悲観シナリオ」では0.1%となっている。景気低迷が長期化した場合は、ほぼ横ばいで推移するが、今後、景気が順調に回復軌道に乗り、各業者の新商品開発や営業力強化が実を結べば、これまで以上の伸びが期待できるということだ。ただし、その場合においても、業界内の競争激化は避けられず、企業間格差はさらに拡大する可能性が高い。
- 今後の勝ち残りのためには、何よりも営業体制の確立やソリューション型提案営業の実践などによる「営業力強化」が求められる。加えて、得意分野を深堀りしたオンリーワンの「新技術・新商品の開発」やマネジメント体制の確立による「経営管理面の強化」などにより、競争力の向上を図っていくことも必要である。
- 地元の行政や大学、研究機関等においても、愛媛のソフトウェア業の集積度をさらに高め、新しい基幹産業に育てていくため、一層の支援体制の強化が望まれる。
4.発行
(1)発行部数 4,000冊
(2)配付先 伊予銀行の取引先、取材先、官公庁、関係諸団体など。
その他希望者には無料で配布する。