今回の西日本レポートでは、少し足を延ばして、愛知・名古屋を取り上げる。現在開催中の「愛・地球博」と今年2月に開港した「中部国際空港」の2つのビッグプロジェクトを中心にみていこう。
人気パビリオンは長蛇の列!
4月上旬、「日本一元気」といわれる愛知・名古屋へ。まずは、JR名古屋駅から「エキス ポシャトル」に乗り、万博八草駅で「リニモ」に乗り換え、「愛・地球博」会場に到着。開催前の内覧会では、リニモがストップし、入り口のものすごい混雑ぶ りが報道されたものの、当日は開場後30分程度経っていたこともあり、混雑はなく、すんなりと入場できた。
愛・地球博では観覧予約システムがあ り、事前にインターネットで1日2件まで、当日は会場内の端末で1件だけ予約することができる。幸いにして万博の目玉のひとつであるマンモスのいる「グ ローバル・ハウス/マンモスラボ」の事前予約が取れたことから、予約時間に間に合うように入場後真っ先にグローバル・ハウスへ。予約の甲斐あって、整理券 を求める人たちを横目にほとんど待つことなく入館できた。
グローバル・ハウスの「ブルーホール」で幅50メートルの巨大なスクリーンの映像を見 た後、いよいよシベリアの永久凍土で発見された約18,000年前のマンモスとご対面。動く歩道に乗り、わずか“1分ちょい”の出来事であったが、大きな 牙だけでなく皮膚や毛など、よくも今まで残っていたなあと感心した。
愛・地球博 開催概要
名称 | 正式名称 : 2005年日本国際博覧会 略称 : 愛知万博 愛称 : 愛・地球博 |
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テーマ | 自然の叡智(Nature’s Wisdom) <サブテーマ>
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会場 | 名古屋東部丘陵 (長久手町・豊田市、瀬戸市) |
開催期間 | 2005年3月25日~9月25日(185日間) |
開場時間 | <長久手会場> 3月25日~4月25日 9:30~21:30 4月26日~9月25日 9:00~22:00 <瀬戸会場> 3月25日~4月25日 9:30~17:30 4月26日~7月19日 9:00~18:00 7月20日~8月31日 9:00~19:00 9月1日~9月25日 9:00~18:00 |
朝10時頃に会場に到着し、マンモスを見たらもうお昼。弁当の持ち込みは当初禁止されていたものの、家庭で調理したものに限り認められている。しかし、会場内には食事するところはいくらでもある。手荷物を少なくしたい人はわざわざ弁当を持っていく必要はないだろう。
会場にはすんなり入場できたとはいえ、最先端のロボットや大迫力の映像などが体験できる「トヨタグループ館」や「日立グループ館」、「三井・東芝館」など、人気の企業パビリオンは長蛇の列。どうしても見たい人は予約をゲットするか、根気よく並ぶしかない。
グローバル・ループで世界一周気分!
日本の企業パビリオンに人気が集中していることもあり、外国館(グローバル・コモン)は 比較的混雑なく、見ることができる。愛・地球博には120を超える国や国際機関が参加している。「万国」博覧会という趣旨からいえば、外国館を見ることに こそ意義があると思う。例えばエジプト館では、ツタンカーメンの黄金マスクやロゼッタストーン(複製)などが展示されており、エジプト料理のコーナーもあ る。外国館を見て回ることで、各国の歴史や文化、食などを身近に感じることができる。長久手会場を一周する「グローバル・ループ」を巡ると、世界一周気分 を味わうことができるだろう。
万博会場はかなり広く、1日で全部見ることは不可能に近い。多くのパビリオンを見るためには、数日に分けてじっくりと見るか、1日の場合は予約パビリオンを軸に綿密な計画を立てて開場から閉場までガンガン回るしかない。
万博の歴史は150年以上!
世界で初めての万博は1851年、ロンドンで開催された。今から150年以上も前である。当時の日本は幕末、ペリーもまだ来ていない(ペリー来航は1853年)時代であった。
万博はその時代の最先端技術や食が発信される場でもあり、ロンドン万博では、「目覚まし時計」や「シャワー付き風呂」などが登場した。1876年のフィラ デルフィア万博では「電話」が発表され、1904年のセントルイス万博では「ホットドッグ」や「ハンバーガー」が登場した。
また、その国のシンボルとなっているものもある。パリの「エッフェル塔」は、フランス革命100周年を記念して開催された1889年のパリ万博のために建てられたものだ。
サテライト会場は家族連れに人気!
愛・地球博は長久手会場・瀬戸会場で開かれているが、名古屋中心部にも会場がある。名古屋駅から歩いて10分程度、あおなみ線「ささしまライブ駅」からすぐのところにある「愛・地球博ささしまサテライト会場(デ・ラ・ファンタジア)」だ。
サテライト会場では、「スター・ウォーズ」シリーズ全編の映画制作で使用された衣装や小道具など250点以上が展示される『アート オブ スター・ウォーズ展』や、世界最大のティラノサウルス「スー」の全身複製骨格が国内初公開となる『恐竜博2005』、「ポケモン」をモチーフにした世界初 の遊園地『Pokémon The Park 2005(ポケパーク)』など、多彩なイベントが開催されている。
中でもポケパークは子どもたちに大人気。「ピカチュウ」の背中に乗れる『ピカチュウの森』や「モンスターボール」をかたどった『ポケモン大観覧車』など、 12種類のアトラクションがある。幼児にとっては、万博よりポケパークの方が楽しいだろう。ちなみに入場は無料だが、アトラクションの利用は有料で、しか も現金は使えず、プリペイド型電子マネーの「Edy(エディ)」カード(またはケータイ)が必要となる。遊ぶにはEdyカードを購入するしかなく、Edy の普及にも一役買いそうだ。
セントレアは一大観光スポットに!
万博に並ぶ愛知の大きな話題といえば、2月17日に開港した「中部国際空港(セントレ ア)」だ。セントレアには、日本の中心(CENTRAL JAPAN = 中部)にある空港(AIRPORT)という意味が込められている。「日本トップクラスの3,500メートルの滑走路」と「24時間離着陸」がウリだ。
かつての名古屋空港に比べて国際線が大幅に増加したこと、国内線との接続が便利になったことで利便性が大幅に向上、利用客は当初予想を大幅に上回って推移 している。航空機の利用客はもちろんだが、空港そのものが目当ての見物客がかなり多い。名古屋から電車で最速28分というアクセスの良さと、飲食・物販施 設が充実し、広い展望デッキがあることが魅力のようだ。
到着ロビーは2階、出発ロビーは3階にあり、4階は飲食・物販施設のある「スカイタウ ン」となっている。スカイタウンの「レンガ通り」はヨーロッパの路地裏をイメージしており、中部初出店となる飲食・物販施設が多く、「ちょうちん横丁」に は、名古屋名物を中心とした飲食店が並ぶ。人気店では食事をするのに1時間以上待たされることも。実際、混雑を避けようと人気店に10時過ぎに行ったが、 結局はちょうどランチタイムとなってしまった。
また、スカイタウンの「くつろぎ処」には国内空港で初の展望風呂がある。天井まで一面ガラス張りになっており、湯船につかりながら離着陸する飛行機を眺められる。
セントレアは、空港としての機能もさることながらアミューズメント施設としても充実しており、今や一大観光スポットになっている。
万博と空港だけじゃない!
愛・地球博とセントレアが注目を集めているが、そればかりではない。愛知では、今年に 入って大型の商業施設が相次いでオープンしている。名古屋の繁華街である栄地区には、2月に観覧車やラーメンパークなどもそろえた複合商業施設「サンシャ イン栄」がオープン、3月には三越が名古屋栄本店の隣に専門店館「ラシック」をオープンした。また、港地区では4月に「名古屋港イタリア村」がオープンす るなど、各地で話題のスポットが続々と誕生している。
さらに、名古屋駅前は大型ビルの建設ラッシュが続いている。中でも2006年秋に完成予定の「ミッドランドスクエア(豊田・毎日ビルディング)」は地上47階建てのオフィス棟と6階建ての商業棟からなり、オフィス棟にはトヨタ自動車が入る予定だ。
愛知は、製造品出荷額等(2003年)が35兆円を超える、全国一の「ものづくり」県。最近はものづくりだけでなく、万博や空港、さらに大型商業施設の相 次ぐオープンなど、観光・消費面でも活気にあふれている。「万博後」を心配する声も多いが、まだまだ愛知・名古屋の活況は続きそうだ。景気の回復感の乏し い地方にもその元気を分けてほしい。
(松尾 明彦)