【概要】道の駅「瀬戸農業公園」
〒796-0506
西宇和郡伊方町塩成乙293番地
TEL 0894-57-2321 FAX 0894-57-2322
ドライバーに安らぎと憩いの場を提供している「道の駅」。最近では、道路や観光などの情報を発信するだけでなく、地域活性化の拠点としての役割も果たしている。
今回から「四国の『道の駅』をたずねて」と題し、8回シリーズで四国にある主要な「道の駅」を紹介する。第1回は、伊方町の「瀬戸農業公園」である。
道の駅「瀬戸農業公園」
「瀬戸農業公園」は、新居浜市のマイントピア別子とともに、県内第1号の「道の駅」として平成5年に登録された。四国最西端、日本で一番細長い佐田岬半島の中央部に位置し、瀬戸 内海と宇和海の両方を見渡すことができるロケーションは、当施設の最大の強みだ。
この施設は、地元特産品の販売、地域の情報発信を行っている「農業活性化センター」、地元農産物を原料にしたシャーベットや新鮮な野菜・柑橘類などを販売している「ジェラテリアだんだん」・「ふるさと市 だんだん」、「れすとらん風車」で構成されている。
当施設のシンボル、ジャンボ風車は、平成16年の台風で壊れ、現在は稼動していないが、復活を願う声は多く、数年内に再建される見通しである。
マイカーでの来園者が大半を占めるが、その他にも、九州からのツアー客や、四国電力伊方原子力発電所の見学者なども、観光バスで訪れ る。ここ数年、来園者数は減少傾向にあるものの、それでも売店での買物客数は年間12~13万人にものぼる。特に、採れたての地元農産品を販売する「ふるさと市 だんだん」は人気のようだ。
目玉商品「瀬戸の金太郎」
センター長の成本氏に、当施設の目玉商品を伺ったところ、「瀬戸の金太郎」と書かれた焼酎を差し出された。真っ赤な金太郎芋が描かれた外箱はインパクトがあるが、箱から取り出してみると、真っ赤な瓶にさらに驚いた。地元塩成(しおなし)で採れた金太郎芋から作った焼酎だそうだが、「瀬戸の金太郎いも」は、愛媛県のふるさと農産物として選ばれている逸品だ。糖度が非常に高く、焼酎にはもってこいとのこと。「金太郎芋を使った土産物は数多く送り出してきたが、最後にどうしても焼酎を手掛けたかった」とは、成本氏の談。地元産の焼酎にかける想いは熱い。昨年4月から同店土産物コーナーで販売しているが、用意した1千本はすべて完売したそうだ。今年度は、本数を増やし、売店内にも販売コーナーを設置しているので、焼酎ファンはお試しあれ。
なお、お酒の飲めない方は、「ジェラテリアだんだん」に、金太郎芋のアイスがあるので、一度味わってみては・・・。
「旧瀬戸町」ってどんなところ?
当施設から西に車で10分ほど走ると、バードウォッチングで有名な権現山展望台がある。佐田岬半島宇和海県立自然公園内にある展望台は、バードウォッチングに最適で、サシバ・ハイタカなどのワシ・タカ類をはじめ、ツバメ・ホトトギスなどの夏鳥が渡ってくるのを県内でいち早く観察できる。晩秋のある日、数限りない渡り鳥が、上昇気流に乗って大空に飛び立っていく様は、地元の人でも思わず見入ってしまうほど、圧巻だそうだ。飛び立つタイミングを見極めるのは難しいようだが、渡り鳥に関する情報を地元から発信して欲しいとリクエストしておいた。
眼下に広がるのは三机湾。真珠湾と地形などがよく似ているため、「日本のパールハーバー」と呼ばれたそうだ。かつて、この地で真珠湾攻撃の極秘訓練が行われたそうで、現在、慰霊碑が建立されている。
また、旧瀬戸町といえば、巨大な風車。「せと風の丘パーク」に登ると、その大きさと風を切る音に驚く。11基の大型風車が半島の頂上を連なる様は、まさに「風のまち 瀬戸」にふさわしい。現在、佐田岬半島には13基の風車があるが、新設計画が相次いでおり、平成18年度には合計58基まで増えるそうだ。
さらに、旧瀬戸町出身の著名人といえば、「青色発光ダイオード」の発明者の中村修二氏と、冒険家の故河野兵市氏。特に、中村氏は世界的偉業を成し遂げた科学者で、ノーベル賞に一番近い人物といわれている。
今後の抱負
産業基盤が弱い南予では、「道の駅」を通じて、第一次産業や観光産業を育成・振興していくことも必要であろう。しかしながら、地域住民の活動が今ひとつ盛り上がっていないのが実態。「地域を理解してもらうために、地元農家の方が来場者との交流を深めることに、もっと積極的に関わって欲しい」と、成本氏は言う。
今年6月には、伊方町で体験型ツアーを企画・販売する「佐田岬ツーリズム協会」が発足した。芋掘りなどの農業体験やみかんの木のオーナー制度等を通じて、町を売り込んでいく方針だ。「瀬戸農業公園」が魅力ある情報を発信し、地域活性化の拠点となることを期待したい。
(薬師神 正浩)