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愛媛の3R企業

地域で出たものを地域で使う ~愛媛におけるアスファルトリサイクリングシステムの先駆者~ 株式会社 愛亀(旧社名 金亀建設株式会社)(2008年5月) 

2008.05.01 愛媛の3R企業

サミットの議題に環境問題が取り上げられたり、アメリカのゴア前副大統領が出演した映画「不都合な真実」が世界的にヒットし同氏がノーベル平和賞を受賞したりするなど、環境問題に対する関心が世界中で高まってきています。
 くろーずあっぷでは今回より、「愛媛の3R企業」と題して、愛媛県資源循環優良モデル認定制度において優良循環型事業所に認定された“環境に優しい”事業所の取り組みを紹介します。第1回は、愛媛県で最初に再生アスファルト舗装工事を施工した株式会社愛亀です。

アスファルトリサイクリングのイメージ

株式会社愛亀

会社概要

本 社〒790-0032
松山市南江戸2丁目660-1
代表者代表取締役社長 西山 周
業 種 舗装・土木・造園工事

 

アスファルト廃材で新しい道路を

皆さんは、道路舗装に使うアスファルトに、アスファルト廃材から再生処理されたリサイクル素材が使われていることをご存知ですか。今や、愛媛県内のアスファルト舗装工事においては、ほとんどの場合リサイクル素材が使われています。
 アスファルト廃材をリサイクルしようとした1987年頃は、愛媛県内では先行事例がなく、施主は品質に対する不安から、工事現場では新品と違って使いづらいのではとの懸念から、導入にかなりの抵抗があったようです。しかし、徐々に利用が進み、建設リサイクル法の施行以後、工事の設計段階から再生アスファルトの利用が求められたなどの要因により、その利用率は100%近くになりました。

同社松山アスファルトプラント

同社松山アスファルトプラント

ごみから出る灰溶融スラグも利用

愛亀では、松山市南クリーンセンターから排出される灰溶融スラグを、アスファルトに使う砂の代替品として利用しています。
 ごみ焼却場側の事情、そして舗装業界としての同社の事情がうまく合致して、松山市で最初の取り組みとなりました。ごみ焼却場側の事情としては、灰溶融スラグなどを埋める最終処分場の処理能力が限界に達していることが挙げられます。舗装業界としては、海砂の採取が禁止されたことから、アスファルトに混合する砂などの細骨材をいかに確保するかという課題があり、海砂の代替品として灰溶融スラグに着目し ました。
 松山市南クリーンセンターは、高温・高密度のプラズマトーチによる先進的な灰溶融システムを導入し焼却灰を溶融スラグ化しています。同センターから排出される灰溶融スラグはガラス質で、経年変化や酸性雨などにより重金属類は溶け出さないことから、安全な材料として利用されています。

償却灰・灰溶融スラグ

現在では同社のみならず、松山市から発注される道路工事では、100%の使用率となっています。松山市のごみから出来た砂ということから、ごみの市外移出とならないように、松山市南クリーンセンターから排出される灰溶融スラグは、そのほとんどが松山市で使われています。

 

環境基本理念を制定

愛亀では、環境問題への取り組みを経営上の最重要課題と位置付けており、「地球規模で考え、地域での汚染の予防と環境保全活動を積極的に進め、『いい物をつくり』と『住みよい地域づくり』に貢献する」との環境基本理念を定めています。
 同社では、環境基本理念に基づき、ISO14001に基づいた環境マネジメントシステムの構築な どの環境方針を定め、全社的に活動しています。ISO14001については、2003年に営業本部が認証を取得しています。

 

県から「優良循環型事業所」に認定

愛亀では、他社に先駆けて、騒音・保水に効果があるといわれる透水性・排水性舗装を施工したり、ガラス・ゴム等の廃材を利用したアスファルトの混合物を製造したりしています。
 本業の舗装と離れたところでは、山林を保有したり、農薬を一切使用しない農業法人「あぐり」を設立したりもしています。「あぐり」では、現在松前町と連携して、町内から回収した剪定枝を堆肥化するなどの事業を行うなど、環境を強く意識した農業に取り組んでいます。
 このような取り組みが評価されて、2002年には、愛媛県から「優良循環型事業所」に認定されました。
 地域で出たごみや廃棄物などを原材料に再生して、地域内で使うという取り組みがさらに広がり、環境に対する関心が深まり、愛媛県が環境先進県となることを期待したいと思います。

(池田 隆)

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